WORKS / in bebop
桃太郎という物語を、そのまま描けば早い。完成されたイラストは、すでに強い。だからこそ、まずは瓶との関係性を検証するところから始めました。仕上げていただいたイラストを一度分解し、要素の配置を組み替えながら、視線の流れや重心の位置を細かく調整しています。中心の意匠が、静かに立ち上がる構成へ。波や鳥といった象徴的なモチーフは、物語の強さを補強しながら、時間の奥行きを加える役割を担っています。伝統のモチーフを、いまの空気の中に置き直す。そのための再構築でした。正直に言えば、ぼくは一度、桃太郎から距離を取りたかった。あまりにも強く、あまりにも完成された記号だからです。けれどこれは、「桃川」を推してくださる方々の手元に届く一本。推しの物語に向き合う責任があると感じ、ぼく自身もあらためて桃太郎と向き合いました。 Illustration: fukaya Typography: kawakami
担当の方と何度もやり取りを重ねながら、瓶の色を決めました。青の透明感をどう活かすか。その一点から設計を始めています。棚での視認性を競うというよりも、今回はユーザーが完全な「推し」であることを前提に考えました。手に取ったとき。光が差したとき。影まで美しく見えること。平面のグラフィックでありながら、立体として印象が変わることを前提に、細部のバランスを整えています。今回のデザインは、使用するイラストでほぼ印象が決まる構造でした。だからこそ、テイストの選定には時間をかけました。かわいすぎず、アートに振り切りすぎず、難解すぎず、でも少しだけ癖があって、にやっとしてもらえる。いつも目指している、その微妙なライン。難しかったけれど、うまく着地できたと思っています。fukayaさん、いつも素敵なイラストをありがとうございます。タイポグラフも、kawakamiさんのテイストを分けていただきました。 本プロジェクトはクラウドファンディングにて目標を達成。多くのご支援をいただきました。ラベルデザインに加え、撮影ディレクション、クラウドファンディングページ用ビジュアル制作、プロジェクト全体のトーン設計にも携わっています。伝統ある酒蔵の挑戦に、デザインで伴走させていただいた事例です。
Credit Direction:Kamiyama
Typography:Kawakami
Illustration:Fukaya
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